私が小学生の頃から通い続けているゲームセンタが在る。
車で約二十分の道程だが、小学生の時分ではまだまだ遠い場所に感じられた。
私が知っている範囲でも既に十五年は経っているし
三度の移転を経験していて、今の場所に移ってからも既に十年が経過している。
このゲームセンタが1999年3月25日を以て閉店した。
此処は完全に個人店舗なので資本には限りが在るし
店長の嗜好でビートマニアに代表されるリズムゲームなどは入荷しない。
ゲームの路に昔から深く居る「ゲーマー」の為のゲーセンであり
とても落ち着ける場所でも在った。
ゲームをしなくとも店員や友人と話をして
お腹が減ったら弁当を買ってきて空いている筐体で食べる。
此処でしか逢えない友人も多く
多くの話をした。
此処は週末ともなれば客が居る限り何時まででも開いていた。
正面玄関は閉まっていたが勝手口は開いていて
風営法には触れていたがそんな事は気にしない。
むしろ常連は夜中になってからやってくる。
突然の閉店とあって、その事を知らない人も多かったようだ。
最後の夜に顔を出すと、常連の独りに
「対戦しよう」
と誘われた。
今日で最後だから、と思うと寂寥感が溢れる。
存分に対戦した。
辺りを観ると筐体も半分近くが既に運び出され広々としている。
あの筐体で対戦に明け暮れた。
あの筐体でシューティングに燃えた。
この後は何処へ行くのか皆に聞いてみたら
仕方なく近くのアミューズメントスペースに行く者
ゲーセン自体行かなくなると云う者。
店員氏曰く
「それほどゲームが好きだった訳じゃない。此処だから働いていたんだ」
そうかもしれない。
此処でしか逢えない知人達。
此処以外で逢う事も無いだろうし逢うのも違っているような気がする。
最後の夜はなんだか高校の卒業式のような、退会するサークルのような不思議な感覚。
結局次の日の事も在り私は午前0時に辞した。
その頃には常連が結構集まっていて
懐かしい昔が帰ってきたような気がした。
私の人生の半分以上を過ごした場所。
多くの人に逢い、多くの事を学んだこの場所は
今はもう無い。
まだまだ書ききれない想いは在るが、後は想い出の中へ。
それにしてもどうして雀荘なぞにしてしまうのだ店長よ。
- 了 -
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