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- ■依頼人は死んだ
- 文藝春秋 2000/05/30 初版
- 本体価格 1762円(税別)
- 2002/04/01 記録
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「前払いなしで動く探偵がいますか」
女性探偵・葉村晶シリーズの連作短編。連作といっても、時間と舞台が連続している
だけなんだけど、一応個別に評するのは割愛。やっぱり葉村のキャラが強くて面白いな。
この作者の描く女性の中でも群を抜いてアクが強い。
そしてしっとりと人情溢れる物語と思わせておいて、そこまでしなくてもと思わせる程の
プロットも健在。ミステリィじゃない作品もあるけど、このシリーズはどちらかと云うとハードボイルド
だろうから気にはならないだろう。
淡々とした文章に見え隠れする陰鬱な部分が読者にじわりじわりと染み込んでくる。
ぞくり、と背筋が寒くなってくる。ハードボイルドではあるが何だかホラーのような印象も
あり、いろんな意味で愉しめるだろう。
やはりこの物語は、葉村晶抜きでは成立しないのだと痛感する。
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