魂魄堂 読了書覚書 - 清涼院流水 -


■秘密屋 赤
講談社ノベルス 2001/04/05 初版
本体価格 500円(税別)
2002/04/25 記録

「実はね・・・・・・私が人面犬なんです」

ふとしたきっかけで都市伝説に関する情報を蒐集する事にした「僕」だったが、先輩と 調査を続ける内に、それらの都市伝説に共通して登場してくる言葉に気が付く。 「秘密屋」とは一体何なのか?



狙いは解る。というより、中盤辺りで「まさかこんなオチじゃないだろうな」と誰もが 不安になるだろう。そしてそれが現実になってしまうのだ。オチも相変わらず牽強付会 だし、何より本人が後書きで語っているのを参考にすると、薄い本を作りたかった ような事を云っているけど、このネタではこれでも長すぎ。最初の5章と最期の5章 くらいの分量で良かったはず。それに関しても後書きで読者には関係のない理由付け をしているが、作品内容とは無関係なところでページ調整なんてして欲しくはないなあ。


■秘密屋 白
講談社ノベルス 2001/04/05 初版
本体価格 500円(税別)
2002/04/26 記録

「───あなたが秘密屋なんでしょ?」

とつぜん見知らぬ男から電話が掛かってくる。相手は「僕」を秘密屋だと言い張り、 「僕」がいくら否定しても信じようとはしない。秘密屋に興味を持っていた「僕」は その勘違いを利用して秘密屋を呼称して逆に男から秘密屋の事を聞き出そうと したのだが。



作者曰く、赤と白のどちらから読んでも差し支えないと云っていたけど、これはやっぱり 赤から読まないと最初の展開が解らないのではないだろうか。そして、やっぱりこの本も ネタの割に長すぎる。赤と白を足して1冊分の長さなら問題ないのに。訳の解らない 理屈で分冊されてしまって、読者の事を考えていない・・・・・・のはいつもか。

それと無意味に文章のレイアウトに拘りすぎる。レイアウトを合わせるのに腐心している せいか、句読点などの使い方がもはや尋常じゃないのじゃよ?(←ファーザー?)

章の分け方とか、後書きとかを赤と対にしたいのはわかるけど、作品の質に全く貢献 していないような気がするのだ。ネタとしては悪くないのに、その調理法が最悪。 やっぱりこれを分冊する理由が解らない。章を分けて1冊にしたって何ら問題は ないはずなのだから。

しかもネタそのものの面白さでは白は赤に負けてるし。


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