|
- ■ライオンハート
- 新潮社 2000/12/20 初版
- 本体価格 1700円(税別)
- 2001/08/02 記録
|
「───覚えて、いてね」
時代を超えて語られる男と女の出逢いと別れ。いつか夢見たあの人と、きっと人生の間の
いつか出逢うだろう。それが再び永い別れの始まりだと解っていても。出逢ってもほんの
刹那の間しか一緒にいられなくても。
短編集、それも連作になるのだろうか。それぞれが独立した時代に於いて語られているが
根底にあるテーマが一貫しているので、私は当初これが短編集だとは思えなかった。
まったく1つに繋がった長編だとばかり思いこんでいた。
恋愛小説、と云うにはとても物悲しい。邂逅と別離が運命づけられているから。
それでも彼らはまた違う人生でお互いを求めあう。容姿や性格なんてものではなく
魂そのもので繋がっている相手が居る。何の迷いもなく、そしてそのために人生の総てを
かけられると云うのはとても羨ましい事だ。
悲哀の物語、と前述したが彼ら自身はそうは思っていない。戸惑い、そして深い悲しみに
晒されながらも最後には充実感と達成感に包まれる。
どうしてそんなに喜べるの?
ふとそう思う。
決して報われないじゃないか。
でも彼らは不遇なわけじゃないのだろう。
彼と彼女はいつまでも。
メリーゴーラウンドのように。
いつまでもいつまでも。
|