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- ■センティメンタル・ブルー
- 講談社ノベルス 2001/06/05 初版
- 本体価格 1000円(税別)
- 2002/03/05 記録
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「ボクの名前、蒼っていうんだ」
「建築探偵シリーズ」の外伝的短編集。京介は殆ど出てこなくて、メインはワトスン役だった
蒼が主人公になっている。各短編によって時系列はばらばらで、本編を読んでいる必要が
ないというのも嬉しい心配りだろう。
本来なら各短編ごとに書評といきたい処だけど、この短編集はミステリィでありながらそのテーマは
そこにはないように思う。寧ろミステリィ的プロットが物語性を阻害している(部分がある)と
云っても良いかも知れない。
確かに本編を全く知らなくても、ストーリィ上は問題ないけど、主役である「蒼」を知ってから
読んで欲しい。タイトル通り、とても切なくて透明感のある物語が詰まっているから。過去のシリーズ
を既読の人には絶対お勧めの1冊となるのは間違いない。
それにしてもこのシリーズは世界観や歴史などがしっかり構築されている。リアルタイムで
時間の流れを感じさせてくれる希有なシリーズだろう。
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