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- ■忌まわしい匣
- 集英社 1999/11/30 初版
- 本体価格 1900円(税別)
- 2002/01/24 記録
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「夕飯にしましょうか」
ホラーショートショート集というか、ホラーオムニバスというか。ホラーなので
個別に書評は書かないけど、雰囲気は悪くない。話が短いせいか、日常の
部分があっさりと非日常に取り込まれてしまうのがちょっと勿体ないような
気もするが、それもスピーディな展開だと考えれば悪くないのかも知れない。
面白いのは、序盤に示される日常の部分が、実は全然日常的では無い
処だ。匣を開けた瞬間から、何かがいびつである事に気が付く。中盤から
そんな「いびつな日常」を受け入れてしまっている自分に気が付く。
ひたひたと忍び寄るようなホラーではなく、かといってスーパーナチュラルでもなく、
当然モダンホラーなどでもない。これは電波ホラーだ。日常を非日常、いや
非常識の世界に一気にトリップさせてしまい、それを自然に思わせる展開は
すばらしい。
これで閑話休題的な部分がもっと創りこんであったら最高なのに。
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