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- ■四重奏
- 講談社ノベルス 2001/04/05 初版
- 本体価格 740円(税別)
- 2001/10/02 記録
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「な・り・ゆ・き」
<堕天使、占星術、魔術、騙し絵、迷宮、愛死、弦楽>
各部屋に悪魔的な意匠をちりばめた館で奏でられる殺人組曲。屋根裏部屋から世界は
覗かれ、倫理の欠片もない探偵や殺人鬼暗躍する。館を支配する昏い旋律が止むとき、
世界を揺るがす真相が明らかに。奇才が技巧の限りをつくして書き上げた騙し絵ミステリー!
(裏表紙より)
自分では巧く梗概を纏められないので、そのまま使ってみる。
単純な感想としては彼らしい作品であり、彼の描く世界観とミステリィが上手に混ざり合っている。
ただ、そのために序盤から中盤にかけて少し読みとりにくい描写が多くなっているのが残念
かもしれない。それにせっかく創り上げた世界観が変容した後、あまりのギャップにちょっと
白けてしまった。かなりのトーンダウンだった。
そしてラスト。これはちょっとありがちではないだろうか。巧く纏めているというか、全体的に
整合性を持たせようとしている為に、どうもその枠に囚われてしまっている感がある。あの
探偵だってもっと巧く使えただろうし「犬」の扱いも中途半端。
それでも作者の仕掛けはかなり成功しているだろう。単純であるが力強い。それを知った
上で再読すると更に面白いのではないだろうか。
てっきりもっとコワレタ作品かと思っていたのだが。
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