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- ■恋霊館事件
- カッパノベルス 2001/04/25 初版
- 本体価格 933円(税別)
- 2002/03/07 記録
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「妖怪?」
阪神淡路大震災の被災者としてテント生活を余儀なくされた、私立探偵とその友人の
占い師。震災から1年以上の時を経て、漸く復興の兆しが見えてくる。そんな中、持ち込まれる
不可思議な事件の数々。密室あり、呪い在り、異人館消失あり・・・・・・
連作推理小説を謳っているけど、単に時系列順に区切りをつけずに短編を並べた
だけのような気がする。確かに事件と事件の繋がりはないのに、別の事件での関係者が
更に別の事件に関係していたりと、それっぽくはあるんだけど。
個人的にはしつこいくらいの阪神淡路大震災に対するアプローチに辟易しているってのが
正直な感想。別にそこまで震災に拘る事はないと思う。確かに震災時の得意な状況ってのは
便利だし、テーマとしても悪くはない。
でもやっぱり出す作品出す作品総てに震災を絡めていく必然性は無いし、またそれに対する
説得力も薄れていくだろう。作家として、そしてミステリィを書き続けていくので在れば、場所は
ともかく震災直後の時間を多用するのは作者の為にならないのでは、と危惧してしまう。
そういったミステリィ以外でのマイナス面に眼をつぶると、各短編は結構出来が良い事に
気が付く。プロットも悪くないし、着眼点も良い。まあ一部のトリックがあまりのそのまま過ぎる
という点はあるものの、短編としての出来はかなり上質のものだと思う。
この調子でミステリィ色を強めたまま、出来れば震災とは無関係な作品を読んでみたい。
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