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- ■僕を殺した女
- 新潮社 1995/06/20 初版
- 本体価格 1400円
- 2002/03/02 記録
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「真実を伝えておきたいだけよ」
気が付くと僕は見知らぬ部屋で見知らぬ女性と一緒に居た。しかも「僕」は何故か
女性の姿になっていたし、知らない内に時間が5年も経過していた。更に自分だと
思っていた人物が他に存在しているという。
いきなり蠱惑的な状況を提示される。登場人物と同様の謎を突きつけられ困惑
しつつも、先の展開が気になって仕方がない。傍目にはSF的な展開にしか思えないが、
安易にSF的プロットを採択しては居ない。あくまでも論理的に話は進み、そしてそれが
二転三転し・・・・・・
井上夢人氏の某作品を先に読んでいたので、何となく似たようなイメージを抱いていたけど
そのアプローチは全く違うものであった。作中での論理的な展開に見事に振り回されつつ、
ラストへの収斂は綺麗に纏めてくれた。
若干バタバタしすぎた感も無くは無いが、それにしてもちょっとばかり残念なのが、
この現象に関する説明が物足りなく、リアリティが多少なりとも喪われてしまっている
事だろうか。
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