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- ■鬼を斬る
- 祥伝社文庫 2000/11/10 初版
- 本体価格 381円(税別)
- 2001/09/27 記録
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「ひ・・・・・・人も鬼になるのですか?」
明治の初頭、ある山村で続けざまに神隠しが起こる。そして近所の子供たちが生首を
抱えた鬼を目撃したという。村の架橋工事の監査役として派遣された立花は、それらの
話に興味を持ってしまう。
タイトル通りの伝記作品。もともとの文体が文体だけに、こういったおどろおどろしい雰囲気が
巧く描写されている。ゲストキャラとして朱雀十五の曾祖父も登場してくるが、彼は物語の
中心には居ない。にも関わらず面白い話題を提供してくれて、この短いページでありながら
蘊蓄で愉しませてくれる。
読んでいる時は単純な話かと思われたが、後半になってそれまでの展開をひっくり返し
始める。うーん、と唸らされるだろう。作者の構成力には頭が下がる思いだ。それも伝奇小説
としての雰囲気を壊すことなく、本来のプロットをより膨らませるようになっている。
伏線、プロット、文体のどれをとっても良くできている。それを良くこのページ数に纏め上げた
ものだ。かなり面白いぞ。
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