魂魄堂 読了書覚書 - 今野敏 -


■ST警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル
講談社ノベルス 2005/05/04 初版
本体価格 800円(税別)
2007/02/20 記録

「僕、帰ってもいい?」

暴力団詐欺グループに復讐しようとする役者志望の若者。それに加わる事になった STの黒崎が中国人マフィアと対決する。そして新宿では暴力団同士の抗争と思われる 連続不審火事件が起きる。



今回の主役はサブタイトルの通り、無口の武闘派にして人間ガスクロマフトの黒崎。 メンバで尤も無口で殆どの描写では誰かに頷いてるだけという徹底ぶり。そんな彼に スポットを当ててるのはなかなに見所があるかも。

黒崎を含めたSTメンバのキャラがとても面白いのでサクサク読み進められる。しかし 事件の謎自体は1割も読まない内に目星が付くだろう。一応真相は捻ってはあるけど 専門知識レベルだから完全な真相を見抜けるようにはなっていないのが少し惜しい。

とはいえ今回のメインは黒崎サイドの話なので、そちらはミステリィ的展開では 無いが寡黙な黒崎の意外な一面が見られてかなり面白い。

しかしITに精通してるはずの男がそんな事も知らないでどうする、という悲しいオチが…。


■ST警視庁科学特捜班 為朝伝説殺人ファイル
講談社ノベルス 2006/07/10 初版
本体価格 800円(税別)
2007/02/20 記録

「手を握っていて……」

伊豆大島と奄美大島で起きたダイビング事故。それを為朝伝説を結びつけて取材に向かった TVクルーたちに事件が起きる。当初は事故と思われたダイビング事故に疑問を持つSTメンバ。 現地へ飛び為朝伝説と事件について調査を行うが…



相変わらずキャラが面白い。というか菊川が段々ST寄りになっているのが可愛らしいのだ。 しかしながら仰々しいサブタイトルの割に話の内容が薄い。後半までずっと為朝伝説について 聞き込みをしているだけというのはどうだろう?

そして何よりこれはSTじゃなくてもちょっと普通に操作するだけであっさり解決できるような 気がするのだが…。まあSTが疑念を持つまでは事故として扱われてた、という部分を差し引いた としても犯人のトリック(とは云えない程)杜撰だし、警察の捜査もお粗末としか云えない。

もうちょっと事件と為朝伝説が深く関わっていればもうちょっと面白かったと思うだけに残念。


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