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- ■乱れからくり
- 角川文庫 1979/04/25 初版
- 本体価格 420円
- 2001/07/05 記録
- (該当文庫は絶版の為リンク先は復刻版)
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「からくり身上という言葉がある」
正直古くさい・・・・・・そう思っていた。しかしそれは間違いだった。とても嬉しい事に・・・・・・
私の想像を裏切ってくれたのだから。いきなり隕石が落ちてくる、と云う荒唐無稽な
始まりだったが、総ては計算の内であった事を知るだろう。私も含める最近の読者に
とって最早苔むした過去の産物だと思っていた。だが、その文章は新鮮さを喪わず、
キャラクタも魅力十分なのである。
流石にトリック的には斬新とは思えないかも知れない。しかし想像するに当時としては
かなり蠱惑的なトリックだったのでは無いか。今読んだとしても目新しさは無いが堅実で
作者の巧妙な手腕が伝わってくる。トリックだけでは無く、ミスリードも鮮やかで物語を
より面白くさせている。
伏線に関しては巧い部分もあればあからさまな部分もあるし、ちょっとアンフェアになりそうな
部分もある。ミステリィの基本がしっかりしているからそんなに気になる事では無いが。
昨今の派手さやキャラクタに傾きがちな作品に比べ、とても骨太な創りになっているのが
とても嬉しい。と云っても決して地味な訳では無い。終盤にはかなりの大仕掛けが
手ぐすね引いて待っているし、探偵・宇内舞子の強烈なキャラクタに魅了される事は
間違いないのだから。
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