魂魄堂 読了書覚書 - 雨宮雨彦 -


■魔王の扉
鳥影社 2000/08/16 初版
本体価格 1600円(税別)
2001/08/09 記録

「あーあ、お掃除が大変だわ」

『冬の女王の瞳』の続編と云うか、別視点と云うか。
ある女学校に入学したパメラはとある事件をきっかけにある子供の乳母役を 仰せつかる。その子供は2千年以上生きていて、そうやって代々の乳母が彼を 育てているのだ。

うーん、正直このシリーズ(と云うかこの世界観)はもうお腹一杯、って云うのが 正直な感想。どんどん世界を広げていくのは良いんだけど、語られる内容が 殆ど変わらないし、キャラクタも名前だけ違った遣い回しのような印象を受けた。 本書は3つの章に別れ、それぞれ物語展開に違いがあるが、どうせなら「レン」 の章の前半の展開が続けば面白かったのに、とか思う。

それに『冬の女王の瞳』と世界を同一にしてるが、どうもキャラクタの名前というか 設定に矛盾が生じているような気がして、すっきりしない。

本人は「こんな変な話を書けるのは僕だけ」とか自慢何だか解らないような 後書きを毎回書いてますが、これ以上こんな話が続くと単なる作品の焼き直し、 異口同音にしかならないだろう。

流石にそろそろ別の話を書かないと。


■王女ルウ
鳥影社 2001/06/15 初版
本体価格 1500円(税別)
2002/05/05 記録

「死人使いだよ」

ある日タータが電車に乗り合わせた第三王女ルウに気に入られ、一緒に住む事になった。 その内タータはルウの部下にも気に入られ、国民にもその人柄が認められるようになってくる。



梗概書きにくい。この作者の本を読んだことがあったら解ると思うけど、例によってナチュラルな 少年と、年上の権力を持った女性との生活の話。少年役のキャラは名前だけが違うだけで 性格や行動パターンは一緒だし、何故かそんな少年に心惹かれる年上の女性も、ぶっきらぼう だけど少年にだけは優しく、そして他者を全然顧みない、とこれまた一緒。

世界観としては『ケンタウロス』と似てるかな。慣れてきたせいか読みやすいと云えば読みやすい のだが、逆に云うとこのキャラと世界観では新しい本を読んでいる気がしない。どこにも独創性 というものが無く、読まなくても先が解ってしまうくらいだから。

どこまで確信的に書いているのかはわからないけど、やっぱりちょっと発想の転換が必要なのでは。


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