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- ■金田一少年の事件簿 邪宗館殺人事件
- マガジンノベルス 2001/04/20 初版
- 本体価格 857円(税別)
- 2001/07/18 記録
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「――謎はすべて解けた」
金田一が小学生の、ある夏休みの間だけ過ごした友人の別荘。そこで金田一は
奇異な体験をする。そして今、古い新聞記事から自分がある過ちを犯していたのでは
と思い、懐かしい思いでの土地に舞い戻る。そこには大成したかつての「仲間」が居て
喜んで出迎えてくれた。だが、その内の1人が惨殺されてしまう。
いつもの「巻き込まれ型」じゃないせいか、物語に入り込みやすい。小説だからそう
感じるのかもしれないが、漫画版の展開はあまりにわざとらしいように感じる。
それに比べると今回はそんなに事件事件していないので、エンタテインメントとして
愉しめた。
トリックもあまり恣意的では無くて良かったのだが、伏線が少しわざとらしすぎる
のと、トリックのタイミングが良すぎたのもちょっとね。しかし実際計画通りのトリック
と云う事自体が不自然なのかも知れない。今回のような展開では自然な展開
だったか。
テーマ的にも少し深いところまで求めているのか、部分的に「後期クイーン問題」的な
展開もあったが、それもそんなにしつこくなく、今まで(漫画版)のように数多くの
事件に巻き込まれればそんな事も思うよな、と云う感じ。
かなりの秀作だろうとは思うが、本格小説として評価するならば、やはりまだ甘く
『電脳山荘殺人事件』の出来の良さを越えるものでは無いだろう。
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