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- ■月長石の魔犬
- 講談社ノベルス 2001/06/05 初版
- 本体価格 760円(税別)
- 2001/12/19 記録
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「・・・・・・先生、蹴りますよ?」
連続殺人事件が起きると、左腕を切断された屍体に行き当たる。非公式な見解では
「連続殺人鬼・連続殺人」なのではとの噂も流れる。そんな中、頭部を切断されて
代わりに犬の頭部を縫いつけられるという連続殺人事件が発生する。
あらゆる意味で人工的な匂いがする作品。いかにも的な事件設定、やたら漫画的な
人物の名前や性格。小説としてはかなり歪んだ作品にも思えるが、かといって
つまらないのかと云うと、少なくとも私にとってはそうではなかった。
ミステリィ的展開としては解りやすい部分も多かったが、その創られた世界観を許諾
する事ができれば「お約束としてのミステリィ」を十分に愉しむ事ができるのでは
ないだろうか。
これはシリーズ化しそうな感じでもあるし、だとするとこの作品はいわゆる「掴み」と
いうヤツで、まずはその世界観や人物紹介としての役割を十分果たしていると思うし、
ミステリィとしてのアプローチは次回作を読んでから評価しても良いように思える。
「子供騙し」といったらお終いだが、文章も悪くはないし、確信的な作品だと割り切れば
十分に及第点に達しているように思われる。
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